前回ガートナーのハイプ・サイクルの見方についてまとめましたが、ハイプ・サイクルに関する間違いというか、理解されていない部分があると改めて感じましたので、今回はブロックチェーンや人工知能(AI)を例に見方をまとめたいと思います。
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ブロックチェーンや人工知能(AI)は過渡期を過ぎて衰退していくのか?
今月ガートナーから日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル2018が発表されました。
このハイプ・サイクルが示す曲線において、ブロックチェーンや人工知能(AI)が流行期と言われる曲線のピークを超え、幻滅期と言われる谷のフェーズへと入りました。
この幻滅期に入ったことにより、テクノロジが衰退していくのではないかという懸念の声も見られましたが、この捉え方は間違っています。
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ハイプ・サイクルのフェーズごとの見方については、別の記事でまとめていますのでお時間あるときに合わせてご参照ください。
「流行期はもっともいい状態」「幻滅期は悪い状態」ではない
ハイプ・サイクルの曲線は技術が創生される黎明期から始まり、もっとも注目を集める流行期(ピーク期)を迎え、その後幻滅期と言われる谷へと向かっていきます。
この「ピーク期をいい状態」、「幻滅期を悪い状態」と勘違いしている人が多いのですが、これは明らかな間違いです。
ガートナーのリサーチチームのバイスプレジデント兼ガートナフェーローのJames(Jamie) M.Popkin(ジェイミー・ポプキン)氏が過去のガートナーシンポジウムで語った記事がZDnetさんにあるので合わせて参考にして欲しいのですが、幻滅期こそハイプ・サイクルで一番注目すべきフェーズであり、確固たる市場形成への登竜門といえるフェーズなのです。
関連記事:ガートナーが説く「ハイプサイクルの本当の見方」(ZDNet)
ブロックチェーンのピーク期は2017年
ピーク期は市場でもっとも注目を集めメディアに頻繁に取り上げられる時期で、時には夢のような事例が語られ、なんでも解決できるという誤解を生む時期ともいえます。
キャッチアップの早い企業が導入を始めますが、現実と夢のギャップから失敗に終わることも多々あり、システム構築を請け負ったスタートアップやベンダーもトラブルを抱えることが多いです。
2017年は仮想通貨元年と言われましたが、ブロックチェーンについても同様に夢が語られ市場から過度な期待をされていました。
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幻滅期は定番技術への登竜門
そんな過度な期待が持たれている状態から、幻滅期ではもう少し現実的な部分に目が向けられ始め、技術に対して需要側と供給側が歩み寄る現象がおきます。
先行者の失敗事例も出てきて、技術の現実に気づき始めるのです。
幻滅期の谷の部分までくると、テクノロジによってできることとできないことが見極められて、定番技術へと発展します。
幻滅期の幻滅という言葉は、技術に幻滅したのではなく、できることできないことが見極められて、確固たる市場を形成し長期に渡って使われ続ける技術になることを表します。
クラウドコンピューティングのようなブレイクスルーができるか
たとえば、2016年のハイプ・サイクルによると、クラウドコンピューティングは幻滅期の谷の真っ只中にありました。
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そして2018年現在のクラウドコンピューティングの位置付けですが、確固たる市場を形成して今後も使われ続ける技術となっていることは明らかです。
クラウドコンピューティングは2018年のハイプ・サイクルでは、幻滅期を抜けて回復期(啓蒙期)に入りました。
回復期とは、そのテクノロジによってできることが理解された上で製品が採用され、ユースケースによってテクノロジが広く定着していくフェーズです。
Amazon AWS、Microsoft Azure、Google GCPは2018年になってからも確実に成長していることからわかります。
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AI技術に関するガートナーからの提言
また、AIが幻滅期へ突入したことにより、先日ガートナー から今後のAI技術の推進について提言がありました。要約すると「企業はベンダーに技術を丸投げするな!」という指摘です。
流行期の説明で取り上げた通り、日本はよく技術を理解しないままベンダーに丸投げする企業が多いのが実情です。幻滅期では出来ることと出来ないことを見極める必要がある段階なので、今後の成長のためにもガートナー 社がIT業界全体に対して提言している形となっています。
↓↓こちらのプレスリリースについても取り上げて要点をまとめましたので合わせてご参考ください↓↓
ブロックチェーンやAIの技術はこれから
ということでブロックチェーンやAIの未来はまだまだこれからなのです。
これから回復期に入り技術が市場に広範に広がっていくか、それともニッチ市場のみに留まるか、それとも陳腐化してしまうのかはこれからの使われ方次第です。
現にAIエンジニアはアメリカでも超売り手市場で賃金がどんどん上昇しているようです。
AIエンジニアは超売り手市場。まだブログで消耗しているの?
/アングル:米国でAI技術者の争奪戦、超売り手市場で賃金上昇 https://t.co/f4iwX2x5CF— Linden (@moritamjk) 2018年10月21日
先端技術に関わっているエンジニアの皆様はこれからも自信を持って市場を引っ張っていっていただければと思います。
2019年給与アップを狙えるITエンジニア
2019年現在、ITエンジニアの需要は世界中で高まっていて、超売り手市場となっています。もちろんすべてのITエンジニアが超売り手市場で給料を上げるわけではありません。
特に需要が高まっている分野として、「AI」、「ビッグデータ」、「クラウド」、「サイバーセキュリティ」などがあります。
合計29万2000人のIT担当者を雇う3289社から収集した給与とスキルのデータを土台にしている「Footeのレポート」から需要の高まっている分野をピックアップしました。
↓↓詳しくは下記の記事を参考にしてください↓↓
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