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IT業界最大規模シンクタンクのガートナー
Gartner(以下、ガートナー)社は米国に本社を置くIT分野の調査やコンサルを行う業界最大規模の企業で、世界中の名だたる大企業や政府機関を顧客に持つ歴史のある会社です。
IT分野の調査やコンサル以外にも、テクノロジー関連企業の最高情報責任者(CIO)など向けの会員制サービスである「エグゼクティブプログラム」、グローバルで実施される「Gartner Symposium/ITxpo」というイベントの主催、出版、マーケティングなどを行っています。
ガートナーは日本法人のガートナージャパンも持っており、今回見るハイプ・サイクルも日本の市場やユーザアンケートによってきちんと日本向けに提供してくれています。
調査情報は有料会員向けに発行されていますが、注目分野の情報に関してはプレス・リリースとして無償で提供されるものもありますので、定期的にチェックしておきましょう。
・IT分野のリサーチ
・IT分野のコンサルティング
・エグゼクティブプログラム
・イベントの主催
マジック・クアドラントとは
ガートナーといえばマジック・クアドラントが有名で、よくメーカーや大手ベンダーが自社が市場のリーダポジションにいることをアピールするために使います。
下記ガートナージャパンがマジック・クアドラントについて説明した文の引用です。
ガートナーのマジック・クアドラントは、各市場におけるリサーチの集大成とも言える情報で、各市場で活動しているベンダー各社の相対的な位置付けを、幅広い視点から知ることができます。分かりやすく視覚的な表現 (リーダー、チャレンジャー、概念先行型、特定市場指向型) と、均一な評価基準を基盤にするマジック・クアドラントによって、ベンダー各社がそれぞれ掲げているビジョンと実行力をひと目で理解することができます。マジック・クアドラントによって次のことが可能になります。
・各市場の主要ベンダー各社の情報と、ユーザーのニーズに応える能力をひと目で理解
・ベンダー各社の市場における現在の位置付けと、将来に向けた市場戦略を理解
・ベンダー各社の長所と短所を、自社の具体的なニーズと比較しながら分析
マジック・クアドラントの見方
マジック・クアドラントは特定テクノロジー市場における競合ベンダーの相対的な位置づけを「リーダー」「ビジョナリー」「ニッチ」「チャレンジャー」の4つのクアドラントに分類します。
右上に行くほど市場でのリーダーポジションにあり、業界の相対的な位置づけ(力関係)が一目でわかる有用な指標です。
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リーダー(Leaders)
Leadersは文字通り市場を牽引するリーダーとなるベンダーが位置します。
ファイアウォールならPaloalto、SEIMならSplunk、CASBならSymantecやMcAfeeといった具合に市場にはリーダーとなるベンダーがいます。
製品選定をする際に信頼と実績を重視し、このLeadersの中から選択する企業が多いです。
ビジョナリー(Visionaries)
ビジョナリーは、市場がどこに向かっているかを理解しているか、市場規則を変更するためのビジョンを持っているベンダーです。
しかし、まだそのビジョンをうまく実行できていないという評価を受けています。
チャレンジャー(Challengers)
チャレンジャーは今日うまく実行するか、または大部分を支配するかもしれない潜在能力を持っています。
しかし、まだ市場動向の理解ができていないという評価を受けています。
ニッチプレイヤー(Niche Players)
ニッチプレイヤーは、小さなセグメントに的を絞って焦点を合わせているか、焦点を絞っておらず、他のベンダーよりも革新や成果を上げられていないという評価を受けています。
マジック・クアドラントの種類
マジック・クアドラントの調査対象は非常に多岐に渡り、150分野以上がその調査対象となっています。
マジック・クアドラントの調査対象となっている市場はガートナーのホームページで公開されています。
・ガートナー:マジック・クアドラントの市場調査分野
マジック・クアドラントの調査対象となっている特定の市場、日付、および研究文書のリストは、Critical Capabilitiesの研究ノートで年間を通して更新されます。
・ガートナー:出版カレンダー
ガートナーのハイプ・サイクルとは
マジック・クアドラントがメーカーやベンダーカットで市場を見ているのに対して、ハイプ・サイクルはテクノロジーカットで市場をみているものです。
ハイプ・サイクルとは、特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す図で、ガートナー社がこの概念を造り出しました。
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↓↓ハイプ・サイクルの見方は別の記事でまとめていますので合わせてご参照ください↓↓
ハイプ・サイクルとマジック・クアドラントを組み合わせた見方
実際私が投資をしているSplunkという企業は、SEIM(Security Information and Event Management)という、セキュリティ技術に関する部門で、IBMと並んでリーダーの位置を獲得しています。
【関連記事】
【海外企業分析】スプランク Splunk inc. (NASDAQ:SPLK)
SEIMの部門でどのメーカーやベンダーがリーダーを取っているか(取りそうか)、どのような競合他社があるかというのはマジック・クアドラントでみることができます。
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じゃあ、そのSEIMという技術は、今の市場でどのような位置にあるのか、今後どのように発展していくのか、ということがハイプ・サイクルで見ることができます。
ガートナーはハイプ・サイクルをテクノロジー分野別に160種類以上、定期的にまとめています。
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ハイプ・サイクルの具体的な見方
ハイプ・サイクルの具体的な見方は、別記事でブロックチェーンと人工知能(AI)を例に説明していますので併せて参考にしてください。
↓↓ブロックチェーンとAIにおけるハイプ・サイクルの具体的な見方↓↓
また、AIが幻滅期へ突入したことにより、先日ガートナー から今後のAI技術の推進について提言がありました。要約すると「企業はベンダーに技術を丸投げするな!」という指摘です。
流行期の説明で取り上げた通り、日本はよく技術を理解しないままベンダーに丸投げする企業が多いのが実情です。幻滅期では出来ることと出来ないことを見極める必要がある段階なので、今後の成長のためにもガートナー 社がIT業界全体に対して提言している形となっています。
こちらのプレスリリースについても取り上げて要点をまとめましたので合わせてご参考ください。
↓↓AIがハイプ・サイクルの幻滅期突入したことによるガートナーからの提言↓↓
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4492762396″ title=”AI vs. 教科書が読めない子どもたち”]